AOKI JUN
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J

JAPAN

HOUSE

Jは、部屋が数珠繋ぎになってできている。部屋に開けられているのは、全て正方形の開口である。大小さまざまな正方形の穴が、さまざまな組み合わされ方で、各部屋に散らばっている。正方形の穴は、その向こうの、庭の桜や隣の家の屋根越しの空などの風景を欠きとっている。また、ある穴は隣の部屋の風景を欠きとっている。住宅の外の風景と、住宅のなかの風景が、等価に感じられるようにすることが、この住宅の試みである。それが成功すれば、それぞれの部屋が、海に浮かぶ島のように、周辺を外に囲まれた内の世界になるだろう。ひとつひとつの部屋は、細胞のようなようなものである。と言っても、部屋それぞれには、とりたてて異なった個性はない。にもかかわらず、それを細胞に感じさせるのは、正方形に限定された開口の形と、それによって枠どられた向こうの景色である。

写真撮影: Daici Ano